清岡卓行『偶然のめぐみ』

dlimcblog2012-10-02

 清岡卓行(1922−2006)は1999年に日本経済新聞の「私の履歴書」を書いています。それが本になっているというので探してやっと入手したのが、『随筆集 偶然のめぐみ』(日本経済新聞出版社、2007)です。この本は、詩集『ひさしぶりのバッハ』(思潮社)、短篇と随筆をおさめた『断片と線』(講談社)につづく三冊目の遺稿集である、と「あとがき」にありました。4部からなる内容の詳細は清岡卓行のサイトにありましたので、リンクをはっておきます。


偶然のめぐみ [清岡卓行の世界]
http://www.k5.dion.ne.jp/~kiyooka/guzen.html


 早速「私の履歴書」の部分を読んでみましたが、大連という都市に生まれ育った著者のその土地に寄せる思いが溢れていました。またクラシック音楽に小さい時から親しみ、中学生のころ買ってもらったSPレコードについても記されていました。

 ここでは、最初に買ってもらったSP十二インチ四枚組のアルバムについてだけ記したい。楽曲はモーツアルトの『ピアノ協奏曲第二十二番変ホ長調(K.482)であった。演奏は、ピアノがエドウィン・フィッシャーで、管弦楽がジョン・バルビローリ指揮ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラである。一九三五年六月に録音されていた。(p33)

 続く随筆の中にも大連にいろいろ触れているようなので、少しずつ読んでみたいと思っています。